近年、IT業界への就職・転職市場で、正社員SESエンジニアの現状について様々な意見が飛び交っています。
「偽装請負が横行している」
「残業を押し付けられ長時間労働になりやすい」
「雑用ばかり押し付けられスキルが身につかない」
「SESは何の価値も生み出さない」
「給料が上がらない」
これらの声をまとめると、「SESエンジニアとは、スキルアップの機会が少なく、労働環境も厳しく、給与面でも満足できない」という悲観的なイメージが広がっているように思えます。
荒川 慧一部の声に耳を傾けると、SESエンジニアという仕事は厳しいものに思えてきます。しかし、これらは一面的な意見で、全てのSESエンジニアがそうだとは限りません。
しかし、こうした見方は本当に正しいのでしょうか?特にスキルが身につかず、年収も上がらないようであれば、これはエンジニアとしては非常に大きな問題です。事実ならば、誰もがSESエンジニアから避けて通るでしょう。



確かにこれらの問題が全てのSESエンジニアに当てはまるなら、エンジニアとしての成長を阻害する重要な課題となります。
真実を探るために
したがって、エンジニアとして自己成長を続けたいなら、まずはこれらの実態を正しく理解する必要があります。この章では、そうした一般的な認識や意見について、その真偽を深堀りしていきましょう。



いきなり信じ込むのではなく、一つ一つの情報について真偽を確かめることが大切です。自分のキャリアを左右するような重要な情報は、特に慎重になるべきです。
本章では、SESエンジニアの待遇やキャリア形成について真剣に考える方々のために、可能な限り真実を伝えることを心がけます。私たちの情報があなたの決断に役立てば幸いです。
SESとは
まず、SESとは何なのか、その定義を確認します。
SES(システムエンジニアリングサービス)は委託契約の一種で、ソフトウエアやシステムの開発・保守・運用などの特定の業務に対し、エンジニアを派遣する技術支援サービスのことです。
SESのみで売上を上げている企業を、俗に「SES企業」と呼ばれます。
割と最近、どこからか生まれた用語であり、ひと昔はなかった用語です。
この用語は、現役エンジニアでも知らない方が意外と多く、この手の事情はこれからIT業界で働こうと考えている方の方が詳しいかもしれません。
SESの実態について探る
皆様の耳にも一度や二度は入ったことでしょう、SESの評判が最悪だという話。しかし、その全てが本当なのでしょうか?一緒に考えてみましょう。
偽装請負の実情
「偽装請負」は、IT業界でよく聞く言葉ですね。なんともう10年以上前から言われています。しかし、令和の現在でも、本当に横行しているのでしょうか?
少なくとも私が知る範囲では、「かなり改善されている」との声が多く聞かれます。「横行」という言葉には少し違和感を感じるのが実際です。
特に、指揮命令権について「これは偽装請負だ」と判断されるケースが多いですが、その中には意外と誤解が含まれていることもあるのです。



偽装請負について誤解が多いですね。しっかりと理解しましょう。
偽装請負とは何か
偽装請負とは、書面での契約上は「請負契約」や「準委任契約」としているのに、実態は「派遣契約」のようにクライアントから常駐エンジニアに直接指示を出している状態のことを指します。
「派遣契約」であれば派遣先のクライアントから直接、業務指示や命令を受けても問題ありませんが、「請負契約」や「準委任契約」では、それはNGとされます。
SES契約と指揮命令権の問題
SES契約は「準委任契約」に該当します。したがって、本来、客先常駐しているSESエンジニアはクライアント(発注元の顧客)から直接指示を受けてはいけません。指揮命令権はあくまで雇用者のSES企業にあり、指示はSES企業、つまり自社の管理責任者から受ける必要があります。
もし、クライアントから直接指示が出されれば、それは「偽装請負」と見なされる可能性が高いです。
しかし、このあたりのことは、現場で働くエンジニアはほとんど知っています。コンプライアンスの徹底が求められるこの時代、特に大手企業ほど、この手の教育は念入りにされています。そんなあちこちで、偽装請負が横行しているなんてことはありません。
誤解されやすい偽装請負
誤解しやすい点として、業務割当などの指示でなければ、直接指示には該当しないということです。
例えば、自身が担当している業務が予定より遅れているとき、残業してでも遅れを巻き返してほしいと言われることがあるかもしれません。しかし、それはもともとの注文者としての指示と同等のものと言えます。新たな業務を割り当てたわけではないので、直接指示には該当しないと考えられます。
同じオフィス、同じフロアで働く以上、何らかのコミュニケーションが生じるのは必然です。その中で、ときに勤務態度などをクライアントから直接注意されることもあるでしょう。
これも本来、「クライアント→自社の管理責任者→作業者」のルートで注意するのが適切なのかもしれません。しかし、そのルートだと、ちょっとしたことでも大事になってしまい、結果的に作業者はますます働きにくくなってしまいます。
実際の偽装請負被害
偽装請負の被害にあったと訴えている方もいますが、よく話を聞いていくと誤解であり、実際には偽装請負に該当しなかったというケースも結構あります。



偽装請負と一口に言っても、深く理解する必要がありますね。
長時間労働の現状について
多くの情報源が述べている通り、SESの中には残業が多く、長時間労働が当然という雰囲気を持つ企業も存在します。では、それらの情報は本当に事実なのでしょうか。今回は一つ一つ事実を検証していきましょう。
残業を強要される現象について
現代において、一方的に残業を押し付けられるという状況は稀です。特に、発注元のクライアントから直接押し付けられるということはまずありません。これは明確な契約違反に当たります。もし、そのような行為を体験したならば、直ちに上長や社内のコンプライアンス窓口に相談することをお勧めします。
しかしながら、ここで注意すべきは、「今日、残業お願いして良い?」といった要望が自社の管理責任者を介して来ることがあるという事実です。



残業をお願いされたら、その要望が適切であるかどうか判断しましょう。体調や個人的な予定を無視した無理な要求であれば、断ることも必要です。
SESエンジニアとクライアントエンジニアの残業状況
SES企業は、人手が足りないからこそエンジニアを発注します。そのため、参画し始めたばかりでも残業を頼まれることがありますが、それは無理に受ける必要はありません。
また、「クライアントは定時に帰り、SESエンジニアだけ遅くまで残業させられている。」という声もありますが、私の経験上、見聞上は全く逆で、 「クライアントのエンジニアはいつも遅くまで残り、派遣や請負の外部エンジニアはいつも先に帰っている。」というのが現状です。
過労との闘い
遅くまで働くことが偉いとは言えませんし、全ての現場がそうだとは言えません。ただ、「責任感」については、外部エンジニアの方が低い傾向があると感じます。重労働により体調を崩す人や白髪を増やしているのは、大抵、クライアントのエンジニアです。
総括
「残業を押し付けられ長時間労働になりやすい」というのは、一部の現場では実際に見受けられるかもしれません。しかし、これが一般的な話ではないと断言できます。自己の労働時間を適切に管理し、必要なら上司に相談することで、健康で充実したSESエンジニアライフを送ることが可能です。



自分自身の健康とライフバランスを守ることは、あなた自身が最も重要な仕事です。適切な時間管理を心がけ、無理な要求には断る勇気を持ちましょう。
エンジニアとしてスキルアップを目指す際の現状
エンジニアとして働き始めると、一つの課題が浮上します。それは「スキルアップ」です。しかし、仕事内容が雑用ばかりでスキルアップの機会が得られないと感じている方もいるかもしれません。それは一体どういうことなのでしょうか。



私、開発系の案件でスキルアップできると思ったらコールセンター対応業務にアサインされていたことがあります。



フリーランスではそれはあり得ないですね。少なくとも僕のエージェントの荒川さんが確認交渉をしているのでギャップを感じることは少ないです。



将来的にも高単価の案件をご紹介できるよう、現状スキルと学習したスキル、アサインする案件で使用する技術などを見て案件を選んでいただくようにしています。
外部エンジニアの役割
外部のエンジニアは、基本的にエンジニアリング力が不足している部分を補うために雇われます。そのため、業務内容はあらかじめ決まっていることが多く、自由にやりたいことを追求できるわけではありません。これは残念ながら、現実の一部です。



外部エンジニアとして働くときは、自分がどんな役割を果たすのか理解しておきましょう。それによって、自分の期待と現実のギャップを最小限に抑え、フリーランスになる時のスキルシートを充実させることになります!
クライアント企業との関係
また、クライアント企業から見ると、自社の社員の成長を最儲けに考えるのはごく自然なことです。その結果、新参者である外部エンジニアに、いきなり重要なタスクを任せることは少ないのです。
見える化するスキルアップ
したがって、仕事を通じて即座にスキルアップするのは困難かもしれません。しかし、これはスキルアップの方法を見つけ出すチャンスでもあります。スキルアップには多くの形があります。例えば、雑用と思われる業務でも、その中に学びを見つけることができます。



雑用のように見える仕事も、適切な視点を持てばスキルアップの機会になります。見えない所に価値を見つけ出す力も、一つの重要なスキルです。
まとめ
外部エンジニアとして雇われた場合、雑用ばかりが押し付けられスキルが身につかないと感じるかもしれません。しかし、その中でも自己成長の機会を見つけ出すことは可能です。自分自身のスキルアップのために、雑用でも学びを見つけられる視点を持つことが重要です。
SESの現実:価値創造は存在しない?
みなさんが普段聞くSESという言葉、その背後にはどのような意味が隠されているのでしょうか?「SESは何の価値も生み出さない」という強烈な主張に耳を傾けてみましょう。さらに言えば、「SESは日本のIT業界をダメにする」という声も存在します。
システムエンジニアの現実
「プログラマ」、「システムエンジニア」、聞こえはなかなかのものです。しかし、その裏側には派遣の現実が隠されています。我々が思う所の準委任契約も結局のところ、派遣に過ぎません。派遣契約で入っている人と業務内容に大差はありません。



派遣契約で働くエンジニアと、準委任契約のエンジニアとの間に業務内容の違いはほとんどありません。
SES企業の存在意義について
時代が進み、さまざまな変化が起きているにもかかわらず、IT業界の派遣の割合は一向に減らないのが現状です。それでは、一体SES企業は我々SESエンジニアに何をしてくれているのでしょうか? 答えはシンプルです。何もしてくれていません。ただ必要な頭数だけをそろえ、あとは現場に放り投げ、中抜きして利益を得るだけの存在となっています。



多くのSES企業は、ただ必要な人数を集め、現場に放り込むだけで利益を得ていると感じます。



残念ながらそのような企業は多いです。しっかりキャリアを一緒に考えてくれるSES会社と出会えるか。
あるいはエージェントと知り合えているかが生涯年収に直結します。
使い捨ての現実とエンジニアのキャリア
更に、SESでは常駐先が変わるごとに客先との「面談」がありますが、年齢が上がるほど求められるスキルは高くなり、同程度のスキルなら単価も安くて扱いやすい若手を採用する傾向にあります。この現状は、中高年のエンジニアにとっては厳しいものとなります。
40歳近くになったとき、年相応のスキルが身についているかというと、なかなかそうはなっていません。SESエンジニアに任される仕事は、コーディング、テストといった下流工程が多く、自身の成長も頭打ちになってしまいます。
結論:SESの本当の価値は?
それでは、SESにより何の価値を得られるのでしょうか?それが自ずと見えてきます。年齢が増すにつれて、仕事が減っていくという現状。そして、仕事に就けないエンジニアは、お荷物扱いされ、SES企業から自主退職を求められることもあります。
このブログを読んだあなたが、SESという制度について考え、新たな視点を得られたなら幸いです。
建築業界とIT業界:なぜ給料が上がらないのか
みなさんの中には、「なぜ給料が上がらないのか」と疑問に思っている方もいらっしゃるかと思います。今日は、その理由について、建築業界とIT業界の視点から考えてみたいと思います。
ゼネコンとは
まず始めに、「ゼネコン」という言葉について説明します。ゼネコンとは総合請負者として、建設や土木工事を請負契約でおこなう大手の総合建設会社のことを指します。彼らが施工全体を管理し、建築の実務を担当する土木・建築関係の下請け業者をまとめるのが役割となります。



“ゼネコン”という言葉は、大手の総合建設会社を指し、彼らが下請け業者をまとめ、全体の管理を行う役割を果たします。
ITゼネコンとそのピラミッド構造
一方、IT業界にもITゼネコンという言葉が存在します。下に挿入する図のように、このITゼネコンではピラミッド構造が形成されています。


このピラミッド構造において、頂点に位置するのが受託開発企業、いわゆる”SIer”(エスアイヤー)と呼ばれる企業です。



ピラミッドの頂点に立つのは、大抵の場合、受託開発企業、または”SIer”と呼ばれる企業です。
給料構造の現実
この構造から想像できるとおり、最も儲かるのは頂点に位置する企業であり、当然、給料も高いです。それに対して、下位層に行くほど、途中でたくさんの中抜きが発生し、結果的に給料も低くなります。
これこそが、「なぜ給料が上がらないのか」という問題の一端を明らかにするものです。今日の記事を通じて、皆さんにもこの現実を理解していただければと思います。
一般的なSESエンジニアの年収とその実態
皆さんがお仕事を選ぶ際、何を基準に選びますか?職場環境、成長可能性、そして何よりも大切なのが「給与面での待遇」ではないでしょうか。今回は、SESエンジニアの一般的な年収について掘り下げてみましょう。
SESエンジニアの年収推移
まず初めに、一般的なSESエンジニアの年収について見てみましょう。以下に示す通り、キャリアの進行と共に、おおよそ次のような推移となることが一般的です。
- 1年目:300万円
- 3年目:350万円
- 5年目:400万円
- 7年目:450万円
これを見て、「この年収、低いように思えるでしょうか?それとも高いと感じますか?



年収が低いと感じますか?それとも逆でしょうか?
一般的な年収との比較
そこで、国税庁が実施した「民間給与実態統計調査」(令和元年)の結果を引き合いに出してみましょう。それによると、会社員の平均年収全体は436万円となっています。しかし、平均年収だと一部の高所得者により数値が引っ張られるため、より公平な指標として中央値を見てみます。その結果、会社員の年収中央値全体は、男性が356万円、女性が272万円となっています。
これを見ると、男性の中央値に着目すれば、SESエンジニアの年収は3年目で並ぶ結果となります。「SESエンジニアは年収が低い」という声がよく聞かれますが、実際はそこまで低くはありません。



SESエンジニアの年収は一見低く見えますが、実際には一般の会社員と比べても遜色ないことが多いんです。
待遇格差の実感
ただし、この考察を一歩進めて、世間一般まで視野を広げると、SESエンジニアの年収が低いというわけではないものの、客先常駐していると、待遇格差を感じてしまうことは多々あります。
特に常駐先が大手企業になると、基本給や福利厚生などの待遇差が大きく、長く働けば働くほど、待遇格差を露骨に実感することになるでしょう。これは、現場で働くSESエンジニアならではの悩みかもしれません。
今回の記事が、SESエンジニアの年収についての理解を深める一助となれば幸いです。



